読むことについて

プルーストとイカ』という本を読んだ。

プルーストは100年くらい前のフランスの小説家で、イカはするめなどにして食べるとウマい海の生き物だ。

この二つにどんな共通点があるのか?

別に共通点はない。

一方は小説を書く人間で、他方は海中に生息する動物だ。

いったいこの二つのものを並べて、どんな話が始まるのだろうか

本書は、文字を読むという能力が人間に自然に備わるものではなく、後天的に育っていく能力であることを主題としている。

プルーストが読書の喜びについて語った文章から話は始まる。

「読書の神髄は、孤独のただなかにあってもコミュニケーションを実らせることのできる奇跡にあると思う」

著者は、本を読むことが人間にとってどんな体験なのかを説明する。

そして、まだ字の読めない子どもがすこしづつ知っている単語を増やしていって、ゆっくりだが正確に文字を「解読」する段階を経て、流暢な読み手、戦略的な読み手となっていく過程をたどっていく。

文字が目に入った瞬間から、脳のある部位がひとつの単語を分析し始める。

その一瞬に起こることを、数十〜数百ミリ秒単位でくわしく論じている部分はもっともスリリングなところだ。

読めることがけっして生まれつきの能力ではないと知ること。

では、不幸にして読めない人はどうなるか?

本書後半は、ディスレクシアと呼ばれる人たちの話だ。

たとえば、彼らの脳は、読める人の脳と何が違うのか。

また、彼らが文字を読めない代わりに獲得した能力があるのではないか。

こういう話題が論じられる。

ここでは、レオナルド・ダ・ヴィンチや、アインシュタインといった偉人、ジョニー・デップ、キーラ・ナイトレイら俳優に至る才能あふれる人々が、ディスレクシアの例としてあげられていて、驚いてしまった。

最後には、グーグルに代表されるネット環境、大量に情報が流通する世界のなかで、いままでのリテラシー(読み書き能力)が危機にさらされているのではないかという懸念が示される。

「発達の途上にある読み手について検討を続けるなかで私が得た最大の結論は、警告である。今の子どもたちの多くはまさに、ソクラテスがそうなって欲しくないと思ったもの、つまり、自分には知識があると錯覚しているために知的潜在能力を伸ばせずにいる情報解読者集団になる寸前ではないかと心配なのだ」

著者の問いかけは、深いし緊急に考えなければならない。

いろいろ考えさせられる内容だった。

最後に、読書とイカとなんの関係があるかは最初の章を読めばわかりますので。

じゃまた。
























comments

最近、文字書いてなかったので、たまに書くと、あまりの汚さに自分で驚ろいてしまう事があります。やっぱり、文字は書かなきゃダメですよね…(´Д`)
本を読む事は、本当に大事な事だと思います。本を読んで、色んな事を想像して、自分の世界を広げて行く…。最近の子供達は、少し可哀相に思います。与えられるばかり情報のせいで、自分で育てるはずの想像力が育たずに、実行してみないと分からないという、短絡的な行動。
大袈裟な教育よりも、単純に本を読む事、文字を書く事の大事さを教えてあげて欲しいですね。

No title

ほんとにそうですね。
僕もコンピュータで書くことに慣れて、たまに自分の手書きの文字の汚さにうんざりすることがありますよ。
今のこどもたちはグーグルとかで何でも調べられるけど、本を読んで少しづつ物事を知っていくという経験も大切だと思うんです。
教育現場では、ネット時代のリテラシーとあわせて、昔ながらの読書の面白さも教えてあげてほしいですね。

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